通知カード受け取り拒否運動の効果

最終更新日時:2016年(平成28年)3月19日

 2015年の中頃に、SNSを中心に一部の人々が「国民の過半数が通知カードの受け取り拒否をすれば、利用者が少ないと言う既成事実が出来てマイナンバー制度を破綻に追い込むことが出来るぞ!」と声高に叫んでいました。

 実にしょうもないデマではありますが、最近になってもいまだに信じている人がいるようで驚きです。

 このページでは通知カードの受け取り拒否をした場合にどのような事態に陥るか、国や個人に対する影響について考えてみたいと思います。

既にマイナンバー制度は動き始めている

 残念ながら、もう既に日本に住民票を持つ人にはマイナンバーが付番されており、様々な個人情報との紐付けが始まっています。住民票の写しを取得すれば、役所にマイナンバーを提供していないはずなのに、そこにはあなたのマイナンバーが記載されているはずです(記載無しで取得することも可能ではありますが)。

 通知カードは、その名の通りあなたに付番された番号を「通知」しているだけなのです。この通知カードを受け取り拒否したからと言ってあなたに割り当てられたマイナンバーは消えたりはしません。

 番号で管理されるのが気持ち悪いと思われる方もいるかとは思いますが、私たちは既に基礎年金番号や、健康保険の被保険者番号など、なにかに付けて番号が付けられて管理されています。マイナンバーだけを拒絶してもあまり効果的とは思えません。

 国が与野党問わず強力に推進している制度ですから、制度の廃止に持ち込むのは事実上不可能です。

 それと、そもそも通知カードの発送は郵便局の業務であって国民投票ではありません。

受け取り拒否した場合のその後

 通知カードは簡易書留で配達されてきます。受け取りを拒否した場合、一週間は郵便局で保管され、その後、各市区町村に戻っていきます。市区町村ではそれぞれ対応に若干の差異はあるようですが、概ね2016年3月末までは保管しているようです。その間は窓口での受け取りが可能で、それ以降は廃棄処分となってしまいます。

 それでも前述したようにマイナンバー制度は既に動き始めていますので、勤め先の企業は源泉徴収票の作成のため、あなたにマイナンバーの提供を求めてきます。行政機関は、行政サービスの申請書や届出書にマイナンバーの記載を求めてきます。

実は提供の拒否をすることはできます

 ここまで書いておいてなんですが、マイナンバーの提供自体は拒否することが可能です。企業や行政機関は、事務処理で必要な際にあなたからマイナンバーの提供を求める「義務」が発生します。それに対してあなたにはマイナンバーを提供する「義務」はありません。提供を拒否することによる罰則も法律上は特にありません。さらに、全国中小業者団体連絡会(全中連)が各省庁から「書類にマイナンバーの記載が無くとも罰則は無く、受理もする」という回等すら得ています。

 ですが、マイナンバーの提供を拒否したからと言って、既に行政機関が保有している個人情報にはマイナンバーは紐付いています。書類にマイナンバーの記載があれば、機関が保有している個人情報との名寄せがスムーズに済み、書類にマイナンバーの記載が無ければ少し手間が掛かると言うだけです。公務員いじめにしかなりません。

 勤め先からの提供の求めを拒否した場合は、嫌いな担当者への嫌がらせには効果的ですが、あなたの評価が損なわれると言うしっぺ返しがあるかもしれません。

 そもそもマイナンバーの提供を拒否すると言うことは


 「身分証明書の提示をお願いします」

 「嫌です!」


 これとほぼ同じです。

 どんな手続きの一場面として想像しても、ある程度のいざこざが起きそうではありますね。

通知カードを拒否しても住民票があれば手続き出来る

 次に、「通知カードの受け取りを拒否しても、住民票にマイナンバー記載されるのでいざという時はこちらを使えば良い」という意見について。

 これは通知カード受け取り拒否論者の良く発する意見の一つなのですが、率直に言って謎の理論です。

 確かに通知カードではなく住民票の写しでも代用は利くのですが、元々マイナンバー制度における番号確認は

  1. 通知カード + 身分証明書
  2. 個人番号カード
  3. マイナンバーの記載がある住民票の写し等 + 身分証明書
 のどれかとなっており、住民票の写しはマイナンバー制度における正式な手続き方法の一つです。

 通知カードの受け取りを拒否した意味が無くなってしまいます。

 利用者が少ないと言う既成事実からの制度廃止、という意図からも反してしまいます。

 住民票の発行には数百円程度ではありますが手数料が発生してしまいますし、通知カードに比べてかさばります。日本国内で生活している以上、マイナンバーの提供を求められるタイミングは今後ほぼ確実に増えていくことが予想されており、あまり意味のある行動とは思えません。

もう9割以上の人が通知カードを受け取っている

 最後になりましたが、2016年、1月19日の日経新聞の記事を紹介します。

“ マイナンバー制度の通知カードのうち、全体の6.2%に当たる362万通が本人に受け取られず、市区町村に保管されていることが19日、総務省の集計で分かった。集計は12日時点。”

引用元:通知カード362万通未達 全体の6%

 6.2%が受け取っていないと言うことは、逆に言うと93.8%の人は既に受け取っていると言うことになります。

 通知カード受け取り拒否によるマイナンバー制度の破綻という目論見は失敗に終わったと言って過言では無いでしょう。