マイナンバー制度の罰則~その他

最終更新日時:2016年(平成28年)8月10日

 マイナンバー法における罰則規定に関して数ページにわたって解説してきましたが、最後にこのページで国外犯処罰規定と両罰規定について記述して締めとしたいと思います。

国外犯処罰規定

■第五十六条(国外犯処罰規定)…第四十八条から第五十二条までの規定は、日本国外においてこれらの条の罪を犯した者にも適用する。

 日本の法律は基本的に属地主義(国内で起こった犯罪は国籍を問わず罰する)であり、属人主義(日本人が犯した犯罪はそれが世界中のどこで行われたものであれ罰する)ではありません。ですが、一部属人主義により国外犯を処罰する場合もあります。本条は属人主義による国外犯処罰を行うことを規定しています。

情報漏えいの類は在外公館職員によって行われることもありうることですし、特定個人情報ファイルを国外で名簿業者に売却することもありえます。そういった海外での情報漏えいを罰するために本条が設けられています。


・「第四十八条から第五十二条までの規定」というのはそれぞれ、48条が正当な理由のない特定個人情報ファイルの提供、49条が不正な利益を得る目的でのマイナンバーの提供、50条が情報提供ネットワークシステムに関わった者の秘密保持義務違反、51条が不正なマイナンバーの取得、52条が職権濫用による特定個人情報の収集になっています。

 国外犯処罰の対象になっていないのは、53条の個人情報保護委員会による命令違反、54条の個人情報保護委員会の立ち入り検査忌避、55条の通知カード・個人番号カードの不正取得、の3つです。

 53条と54条の個人情報保護委員会がらみの罰則は、そもそも個人情報保護委員会が国内の事業者に対してしか権限を発揮しないため除外されています。55条の通知カード・個人番号カードの不正取得に関しては、カードの取得が国内でしか出来ないため除外されています。

両罰規定

■第五十七条両罰規定…法人の代表者若しくは従業者が、その業務に関して、第四十八条、第四十九条、第五十一条又は第五十三条から第五十五条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対しても、各本条の罰金刑を科する。(一部略)
2 (略)

 57条は両罰規定になっています。両罰規定というのは簡単に言うと違反者だけでなく会社も同様に罰する規定のことです。例えば特定個人情報ファイルの反社会勢力への売却を組織ぐるみで、業務として行っていた場合等は違反者を罰するだけでは不十分なため本条が規定されています。

・「第四十八条、第四十九条、第五十一条又は第五十三条から第五十五条までの違反行為」というのはそれぞれ、48条が正当な理由のない特定個人情報ファイルの提供、49条が不正な利益を得る目的でのマイナンバーの提供、51条が不正なマイナンバーの取得、53条が個人情報保護委員会による命令違反、54条が個人情報保護委員会の立ち入り検査忌避、55条が通知カード・個人番号カードの不正取得、になっています。これらを業務として行っていた場合は違反者のみならず会社も罰せられることになります。

また、従業員が単独で行っていた場合であっても、企業の監督責任に問題があった場合は両罰規定が適用されることもあるため注意が必要です。

・「法人に対しても、各本条の罰金刑を科する」というのは、上記各条項に設けられている罰金刑を法人に対して科す、ということで自然人ではない法人に対しては懲役刑を科すことは出来ないため罰金刑のみになっています。

第2項は省略していますが、法人ではない団体に関する両罰規定について定められたものです。あまり関係ないので省略しました。