マイナンバー制度の罰則~不正提供

最終更新日時:2016年(平成28年)8月10日

 マイナンバー法48条から57条は罰則について規定された条文になります。このページでは48条から50条に規定されている提供に関する罰則規定を学んでいきたいと思います。

正当な理由なくマイナンバー関連の情報を提供するな!

 マイナンバーを悪用して不当なデータマッチングに利用されてしまった場合、またはその性質上大量の個人情報を含有しているものである特定個人情報ファイルが漏えいした場合には個人の権利権益に対して重大な侵害をもたらす恐れがあります。そのためマイナンバー法では48条から50条に、正当な理由がないにもかかわらず人にマイナンバー関連の情報を提供する行為を処罰するための規定を設けています。


■第四十八条…個人番号利用事務等(略)に従事する者又は従事していた者が、正当な理由がないのに、その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報ファイル(略)を提供したときは、四年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


・「個人番号利用事務等…に従事する者」というのは、要は仕事でマイナンバーを取り扱う人のことです。企業の立場であれば、正社員からアルバイト、派遣労働者など役職・雇用形態などを問わず、また受託先の職員も含み、既に退職済みの人をも含む全てが該当することになります。

・「正当な理由がないのに」と言うのは、税や社会保障などマイナンバー法19条の、提供が許される場合に該当しない場合のことです。源泉徴収票の作成事務や厚生年金や雇用保険の資格取得(喪失)届の作成事務などの、マイナンバーの利用が認められた範囲内の業務に関わりの無い人には提供してはいけない、と言うことです。

・特定個人情報ファイルはマイナンバーを内容に含んでいる個人情報ファイルです。パソコンなどで利用するデータベースや紙ベースのものもこれに該当します。

・「提供」というのは、第三者が利用できる状態に置かれる、と言うことです。USBメモリやDVDなどの記録媒体で渡したり、ファイルを渡したり、IDとPWを教えて情報システムにアクセス出来るようにしてしまったりした場合などが考えられます。

・罰則は4年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は併科となっています。地方公務員の秘密保持義務違反だと1年以下の懲役若しくは3万円以下の罰金となっていますので、比較するとかなりの重罰になっています。ちなみに併科というのは罰金刑も課すし懲役刑も課す、と言う意味です。

 簡単にまとめると、マイナンバー関係の仕事をしている人は、その業務に関係ない人に特定個人情報ファイルを渡しちゃダメ、と言うことです。守秘義務キッチリ守りなさい、といったところですね。

この条項の規定は、行政指導などを出して自主的な改善を促すといった過程を経ずに即時に罰則を適用する直罰規定になります。特定個人情報ファイルの不正提供がもたらす危険性を鑑みて、情報漏えいを抑止する必要性が大きいと判断されたためです。

■第四十九条…前条に規定する者が、その業務に関して知り得た個人番号を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、三年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


48条では特定個人情報ファイルの不正提供に関する罰則規定でしたが、こちらはマイナンバー単体での不正提供に関する罰則規定になっています。マイナンバー単体でも、不正なデータマッチングによる情報漏えいの危険性があるためプライバシー侵害を防止するため条文に盛り込まれています。

・「前条に規定する者」というのは48条と同様、マイナンバーを仕事で取り扱っている人のことをさします。もちろん、既に退職済みの人も含んだ表現になります。

・「個人番号」というのは、「個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のもの。」も含まれると規定されており、マイナンバーだけではなく、マイナンバーに少し手を加えたもの、例えば末尾に‘0’を加えただけのものや、マイナンバーの数字を『1⇒A』『2⇒B』『3⇒C』と言ったように変換したものなども含まれる表現になっています。提供を受けたものが簡単にもとのマイナンバーに再変換可能であればマイナンバー自体を提供したも同然だからです。

・「不正な利益を図る目的で」というのは反社会勢力に売却してしまう、などといったことが考えられます。

・「盗用」というのは盗み利用することで、例えば職務上知りえたマイナンバーを利用して他人に成りすまし社会保障の給付の手続きなどを行うことが該当します。

・「提供」というのは48条と同様、第三者が利用できる状態に置くことです。

・罰則としては3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金、又はこれらの併科となっています。個人情報保護法の同様の行為は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされており、法定刑は高くなっています。

マイナンバー単体でも職務上関係ない人に教えるな、と言う条文です。

守秘義務違反

■第五十条…第二十五条(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、三年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


 こちらの規定は民間企業にはおよそ関係がないものです。第25条と言うのは情報提供ネットワークシステムの運営に関わるものや情報照会者・情報提供者に課せられた守秘義務の規定でこれに違反した際の罰則規定が本条になっています。情報提供ネットワークシステムはまだ民間への開放はされていないためほぼ関わりがない条項になります。ただ、一部の民間企業も情報提供ネットワークシステムの構築等に関わっていますので、利用されている機器や構成・設定・プログラムなどの情報を漏えいした場合は本条が適用されることになります。

以上がマイナンバー制度における提供段階での違反行為になります。総じて言うと、マイナンバー関連の仕事をしている場合、関係者以外の人がいる場では仕事の話を一切しなければ特に問題ありません。一般的な守秘義務の範囲に収まっているものです。